戸建を1つ買いました。
車の入らない坂の上にある木造の平屋建てで、50万円でした。
この物件は、法人で取得した第1号物件となります。
個人として持っている物件を合わせると、8棟目だと思います(Newプロジェクト物件は酷すぎるので、まだ数に入れてませんw)
この物件も、自分で所有権移転登記をしてきましたが、
その際、売主さんから、
こういう申請って自分でできるものなんですか?
と聞かれました。
「簡単ですよー」って感じのノリで、やり方をお話しましたが、
同じように思っておられる人も多いと思いますし、ブログネタにします。
てことで今回は、所有権移転登記申請のやり方、注意点について、解説していこうと思います。
ちなみに、オンライン申請はやったこと無いので、書面申請の解説です。
所有権移転登記を自分でやるメリット
登記を司法書士さんに依頼すると、司法書士さんへの報酬が8万~9万くらい増えてしまいます。
この費用って、物件価格と比べて高い比率になってしまいますから、面白くないですよね・・
自分で登記できれば、登録免許税(法務局へ支払う費用)だけで済みますから。
てことで、私は、3号物件以降はすべて、自分で登記を行ってます。
不動産投資を行う人は、何度も登記をすることになりますから、早いうちにできるようになっておくのが良いと思います。
所有権移転登記の書類を作るのはとっても簡単
役所(この場合は法務局)へ書類を提出するのって、なんとなく難しそうなイメージがあると思います。
私が初めて自分で登記する前には、こんな不安がありました。
- どんな書類を出せばよいのかわからない
- 何を記入すればよいのかわからない
- 記入内容を集める方法がわからない
- 記入ルールが厳しくて少しでも間違ってたら受け付けてもらえないのではないか
- 失敗したら大損するのでは?
- 失敗したら関係者に迷惑がかかるのでは?
でもね、実際やってみるとかなり簡単です。
だって、法務局に相談に行くと、すべて教えてくれますから。(担当者次第では、すべて作ってくれますw)
ただし、所有権移転登記を自分で行う際に注意しなければならないことがある
登記申請書類を作るのは簡単ですが(作り方は後述します)、
自分で登記を行う際に、書類づくり以外で気を付けなければならないポイントがあります。
司法書士さんに依頼するとやってもらえるチェック事項を、自分で確認しなければならない、ということです。
例えば、極端な話ですが、売主が地面師だったらどうでしょう?
売主が、2重譲渡(あなた以外の人へ目的の不動産を売却)をもくろんでるかもしれません。
こういった場合、民法177条により、基本的には登記を行った方が保護されます。
民法 第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
ですからつまり、
確実に、自分が、最初に、所有権の移転登記を申請できること。が重要となります。
で、そのために、チェックを自分で行う必要があります。
確認ポイントは、
- その売主は本当に目的の不動産の所有者か?
- 売主に契約の行為能力があるか?
です。
本人確認については、司法書士のように完璧に確認するのは難しいですが、やりかたは後で解説します。
少し言葉が難しいですが、
売主に行為能力が無い場合(つまり単独で法律行為を行えない。未成年、成年被後見人、被保佐人など)は、
司法書士に依頼した方が良いと思います。
あとで「契約取り消し!」とか言われるとめんどくさいですから。
自分で登記申請するときの流れ
まず最初に、おおざっぱに流れを示しておきます。
申請に必要な提出書類
次に、所有権移転登記に必要な書類を列挙しておきます。
- 登記申請書
- 登記原因証明情報
- 委任状
- 登記識別情報(売主が持っている)
- 印鑑証明(売主に取得してもらう)
これらの書類を用意すれば申請できる、ってことです。
では、書類の作り方を解説していきます。
情報を集める
まずは、書類作成のために必要な情報を集めましょう。
- 目的の不動産の、固定資産税評価額がわかる資料(固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書)
- 目的の不動産の、不動産番号(登記簿)
- あなたの住民票の写し(マイナンバー記載無し)または住民票コード(不動産を個人で買う場合)
- あなたの会社の法人等番号(不動産を法人で買う場合)
固定資産税評価額については、売主さんが持っている可能性が高いです。
仲介不動産屋さんが持っている場合もありますから、まずは相談してみてください。
きっと手に入れてくれると思います。
例えば固定資産税の納税通知書だと、赤枠で囲んだ部分が評価額です。
この数値を、申請で使います。
また、このタイミングで、売主様が「登記識別情報」を持っているか、確認をしてください。
紛失している場合は、売主の本人確認が難しくなります。
登記申請を、司法書士や弁護士等の有資格者に登記を依頼するほうが良いでしょう。
不動産番号は、登記簿の右上に記載されています。
登記簿はだれでも法務局で取得可能ですから、(改ざん防止のため)自分で取得するのがよいと思います。
登記簿に記載された情報と、実際の情報が異なっている場合は、申請が少し難しくなります。
例えば、
- 所有権者と売主の名前は同じだけど、住所が異なる。
- 相続によって所有権者の記載と実際の所有者が異なる。
- 建物の全部または一部が未登記
などです。
このような場合、売主さんや仲介さんと相談してみてください。
- 売主側で事前に登記を正しい情報へ変更いただく。
- あなたの方で是正も一緒に登記申請する
- 自分で登記せず司法書士など有資格者に依頼する
などの選択肢があります。
売主側の怠惰が原因ですから、登記費用の分を値引き交渉するのもアリだと思います。
以降、この記事では、登記簿の記載内容と実際の所有権の内容が一致していることを前提に、書いていきます。
申請書類をテキトーに作る
ここからは、申請書類の作成についてです。
ここで作る書類は3つです。
- 委任状
- 登記原因証明情報
- 登記申請書
念のため、それぞれの役割を書いておきます。
【委任状】
本来、不動産の所有権移転登記は、売主と買主が共同で申請するものです。
売主を義務者(つまり不動産を引き渡し登記を移す義務を負った人)
買主を権利者(つまり不動産を取得し登記に記載される権利を得た人)
と呼ぶこともあります。
ただ、現実的に、売主さんと一緒に法務局へ行くのは難しいですよね。
ですから、売主から買主へ、登記の申請を委任する旨、示していただきます。
これにより、買主は、売主の申請処理を代行でき、単独で申請ができるようになります。
【登記原因証明情報】
法務局へ、どういった法律行為によって目的不動産の所有権が移転するのか、を示すための資料です。
多くの場合は売買による所有権移転でしょうから、
確かに売買契約に則って対象不動産の所有権が移転しましたよ!
と示すための資料です。
本人同士が所有権の移転を認めている必要がありますから、売主と買主が共同で作成し、各々が署名します。
【登記申請書】
登記してほしい内容を法務局へ示す資料です。
今後は誰が持ち主になります。
対象の不動産はこれらです。
申請に必要な手数料(登録免許税)を払いました。
だから、登記の修正をお願いします。
という意味合いです。
委任状があるので、申請者はあなた単独で作れます。
書類をテキトーに作ってみよう
最初に言っておきますが、この段階では、書類を完璧に作る必要はありません。
間違いがあっても構いませんし、分からないところは書かずに残しておけばOKです。
なんなら全部空欄でもOKですが、頑張る姿勢は見せたいところですねw
このあと、法務局へ事前相談に行きますから、アドバイスいただきながら完成させましょう!
必要書類のひな形が法務局のホームページにありますので、ダウンロードしてください。
記載例もダウンロードできますので、それを見ながら作りましょう。
中古の戸建を購入する場合は、ここからダウンロードできます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html#05
ダウンロードしたら、必要事項を記入していきます。
ここからは、例として私が実際に申請に使った書類に注意事項を記入して掲載しておきますので、参考にしてみてください。
まずは委任状
赤色の部分だけ書いておきましょう。
署名の欄は、決済時に売主様に記入いただきます。
次は、登記原因証明情報
赤字のところだけ記入しておくと、決済時に印鑑をもらうだけで済みます。
最後に、登記申請書
登記申請書も作ってしまいましょう。
添付情報の欄は、実際に添付する書類に合わせて記載してください。
例えば、個人として不動産を購入する場合、住民票コードを記載すれば、住民票の写しを添付する必要がありませんが、
住民票を添付するのであれば記載しておきましょう。
会社法人等番号は、国税庁のページで法人番号から確認することもできます。
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
この国税庁のサイトで得られる法人番号の、先頭の1桁を削った数値が、会社法人等番号です。
例えば、ヤフー株式会社だと、以下のように法人番号が表示されますが、
先頭の4をとった、「010401039979」が、会社法人等番号です。
登記申請書に記載する課税価額や登録免許税は、自分で計算しなくても大丈夫です。
法務局に事前相談に行って、その時に教えてもらいましょう。
もし、自分で記載する場合はこちらの国税庁のサイトで税率を確認してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
土地と建物それぞれ計算方法が異なりますので、よく読んでくださいね。
例えば2019年現在は、貸家として戸建を購入する場合、
- 土地は固定資産税評価額の1.5%
- 建物は固定資産税評価額の2%
です。
計算方法は、画像の中に書いておきましたので参考にしてください。
繰り返しになりますが、自分で計算しなくても大丈夫です。
法務局に相談
書類ができたら、その書類を持って、近所の法務局へ相談に行きます。
事前予約が必要な場合もありますから、近所の法務局へ電話で聞いてみてくださいね。
当日は、相談員の方が対応してくれます。
持って行くものは、手持ちの書類すべてです。
印鑑も持って行きましょう。
- 委任状
- 登記原因証明情報
- 登記申請書
- 登記簿
- 固定資産税評価額がわかる資料
- あなたの住民票の写し(マイナンバー記載無し)(不動産を個人で買う場合)
- あなたの会社の法人等番号(不動産を法人で買う場合)
これらを持って行くと、相談員の方が細かくチェック(というか訂正)してくれます。
その他、以下のポイントを改めて確認しておきましょう。
- 印鑑を押す場所
- その他、申請時に必要な書類(売主側に用意してもらう書類)
- 申請はどこの法務局で行うべきか?
ここまでくると、書類としてはほとんど完成していると思います。
法務局で聞いた売主側必要書類を売主へ連絡し、決済日までに準備してもらいましょう!
また、本人確認のために、顔写真付きの証明書(運転免許証など)を持ってきていただくよう、依頼しましょう。
売主側書類を受け取る&売主の署名・押印
申請書類の最終仕上げの日です。
本人確認をしつつ、書類を完成させます。
お金を渡す前に、売主が必要な書類を持ってきてくれたか、確認をしましょう。
仲介さんがいらっしゃれば、取り仕切ってくれると思いますが、仲介のいない直接取引の場合は、あなたが主導権を握ってください。
まず最初に、必要書類の確認を行います。
このタイミングで、顔写真付きの本人確認証(運転免許証やパスポート)を見せていただくとよいですね。
提出書類としては、
- 売主の印鑑証明と実印
- 登記識別情報
です。
↓登記識別情報の例
最初に、印鑑証明や登記識別情報に記載された売主の情報が正しいことを確認しましょう。
登記簿、印鑑証明、登記識別情報を比べて確認してください。
また、シールがはがされていないことを確認しましょう。
売主側書類が揃っていたら、
委任状、登記原因証明情報、登記申請書に、実印を押してもらってください。
買主側は、認印で構いません。
ここで、最も重要な書類は委任状です。
この登記申請における、あなたの権限の根拠となる書類だからです。
ですから、委任状に押印された実印と、印鑑証明の印影が一致することを必ず確認してください。
また、委任状には、印鑑証明に記載の住所氏名と一字一句同じ文字列で、署名していただきましょう。
また、委任状には、必ず「捨て印」をもらっておきましょう。
捨て印をもらっておけば、もし委任状に不備があったとしても、修正することができます。
委任状がしっかりしていれば、他の書類は、あなたの印鑑のみで修正が可能です。
登記申請書を提出
書類が完成し、無事に決済も終わったら、管轄の法務局へ提出しましょう。
提出時は、あなた一人で大丈夫ですが、念のため印鑑を持って行ってください。
また、登記完了後の通知を郵送でお願いする場合は、角2号の封筒を持って行きましょう。
「一度、登記相談で書類は確認してもらっている」
と窓口の担当者へ伝えれば、すんなり受け付けてくれるでしょう。
また、このタイミングで、
- 収入印紙をまだ貼ってないから貼り方を教えてほしい。
- 登記が完了したら郵送で送ってほしい
と伝えると、やり方を教えてくれるはずです。
ちなみに、収入印紙は、法務局内で販売されていることが多いです。
また、返送書類の重さをはかって、必要な切手の量を教えてくれると思います。
登記申請書に登録免許税に相当する額の収入印紙を貼り、封筒に切手を貼り、再度窓口に持って行きましょう。
後は待つだけ
法務局へ提出すると、1週間程度で登記が完了し、あなたの名前で登記簿が完成します。
また、登記識別情報も新たに作られ、郵送されてきます。
もし、書類に不備が見つかったり疑問点がある場合は、登記申請書に記載した電話番号へ電話がかかってきますが、
この記事の手順を踏んでいれば、問題なく登記が完了するはずです。
ぜひ挑戦してみてくださいね。
とても参考になりました。相続による移転登記に困っていたところだったので、こちらを参考に勉強してみたいと思います。
また、こちらのブログを読ませていただいて、不動産投資にも興味を持ちました。
またご訪問させていただきます、よろしくお願いいたします。
たまりさん、コメントありがとうございます。
相続に関しても、基本的な流れは同じです。
登記原因証明情報として、相続人全員の合意で自分が所有者と認められていることを示せばよいので。
私も一度、相続登記を自分で経験しておりますので、何かあればご相談くだされば、知ってることはお答えします。
ご丁寧なご返信ありがとうございます。ブログに細かく情報を公開していただいただけでも有難いのに、そう言っていただけると心強いです。お正月明けに親族が集まる機会がありますので、それまでに少しずつ書類など揃えていきたいと思います。自分ひとりでは躓くこともあるかと思いますが、その時にはご相談させて下さい。