前回の続きです。
続きが気になる人はあまりいなかったみたいなので、ずいぶん長い間放置してしまっていました(笑)
しかしこのままだと収まりが悪く、次の話題が書きにくいので、一応締めとして書いておこうと思います。
前回は、情報は選んで採用すべきという話をしてから、マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマの3つの価値基準について触れたところでしたね。
今日はこの3つの価値基準について、不動産投資の視点を絡めながら書いてみてから、情報を取捨選択することについて書いてみようと思っています。
ちなみに、以下の解説は、細かいところは気にせず、私の理解を易しい言葉で書きますので、厳密には少し間違っているかもしれません。
不動産投資における3つの価値基準
前回も書きましたが、マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマの3つの価値基準とは、
- 製品の優位性
- 業務の卓越性
- 緊密な顧客関係
の3つのことです。
競争優位性を維持できる事業は、この3つのうちいずれかのアプローチで顧客に対して価値を提供していますよ。
みたいな話です。
「製品の優位性」というアプローチは、文字通り、商品またはサービスの品質や性能の面で、競合他社と比べて秀でることで、競争力を維持する戦い方です。
不動産投資的に言うと、例を挙げればいろいろあるとは思いますが、
例えば・・
- 立地抜群の物件
- 誰もがうらやむ唯一無二のデザイナーズ物件
- 不具合を事前に予防するメンテナンス体制
- 耐震性、防犯性抜群、圧倒的に充実した設備のRC物件
みたいな、周辺の物件と比べて商品(物件)やサービス(管理)自体に圧倒的に高付加価値の状況を作り出して戦う方針のことです。
お客様に対して、物件や管理体制に対して投資を惜しまず物件の性能や品質を武器に戦いますから、当然コストがかかります。
そのぶん家賃は高くなりますが、お客様に対して最高の住環境を提供することで、家賃は高くても入居したいという層の入居者を狙うイメージです。
次の、「業務の卓越性」というアプローチは、商品の生産方法や販売方法の改善を追求することで、安く、早く、手軽な商品を提供することで競争力を維持する戦い方です。
不動産投資的に言うと例えば、
- 立地は悪いけど激安の木造物件を最低限住める状態にして低家賃で提供
- 駐車場無しDIYを駆使して表面だけ安く仕上げ、低家賃で提供する
- 物件を低額の短期宿泊所にして高い回転率で収益性を確保
- 回転率の高い1ルームや1K物件を低額で仕事の早い職人と組んで回すことで空き室期間を短く運営する
- 家賃の交渉OK
みたいな、品質はそこそこに抑える代わりに安い、とか、効率的な運営体制を武器に空き室期間を短縮して高回転率を維持するみたいなイメージです。
最後の「緊密な顧客関係」というアプローチは、お客様のことを知り、お客様の要望に応え続けることで緊密な関係を構築し、お客様を囲い込む戦い方のことです。
不動産投資的に言うと例えば、
- 入居者が内装デザインを選べるサービス
- 共有部分に目安箱を置いていただいた意見を改善に活かすサービス
- DIY、リフォーム可能賃貸
- ペット可能、高齢者可能、生活保護受給者、連帯保証人無しOK
みたいな、お客様に合わせて物件やサービスを柔軟に変化させつつ、お客様に最適な(自分にぴったりと感じていただける)住環境に仕立てあげ、長く住んでいただくイメージです。
3つの価値基準はお互いに両立しない
気を付けたいのは、これら3つの価値基準、3つの戦い方は、
お互いに両立しない戦略方針だということです。
高品質で値段も安く、お客様の要望に合わせて変化できる、そんな理想的な商品で勝ち続けることはできないんです。
なぜなら、マーケティングの知識を持つ方にとっては常識ですが、
自分の商品には必ず競合が存在するし、人間は普通、経済的にある程度合理的に行動しますから、よい商品を安く仕入れて加工するのは非常に困難だからです。
そしてなにより、自分の商品が何と競合しているのかを決めるのは、お客様だからです。
もし仮に、3つの価値基準をすべて満たす商品を作ることができたとしても、
競合他社がよりお金をかけて高品質な商品を作ってくれば、自社は品質面の優位性を失いますよね。
競合他社がより低価格な商品を作ってくれば値段でも負けます。
3つの価値基準のうち2つ以上を満たしながら、かつ競合に対して優位性を保つのは、普通は非常に難しいんです。
なので、先にも書きましたが、
競争優位性を維持できる事業は、この3つのうちいずれか1つのアプローチに集中した事業のみ
ということになります。
手に入れた情報が、どの価値基準に合う情報なのか吟味して取捨選択すべき
まとめ直すと、
私やあなたは、どの価値基準に集中するかを、決定し、その価値基準に合う情報は採用して行動する。
逆に、採用していない価値基準に適合する情報は、それが良さそうに見えても採用しない。
こういう情報の取捨選択をしなければ、勝ち続けるのは難しくなっていきます。
ま、不動産賃貸業を営むプレーヤーは、
今のところまだまだ、事業家レベルの高い方は少ないと思いますが、
景気の向上と不動産ブームに乗って、
事業家マインドの高いプレーヤーが増え、
しかも人口が減り、お客様の奪い合いが始まると、
自分の価値基準を決めてそれに集中特化し、お客様からみてナンバーワンを維持した人のみが、
勝ち残ることができるでしょうね。
あ、誤解されるといけないので念のために言いますけど、
3つのうちひとつに集中するということは、他の2つがグダグダで良いという意味ではありません。
他の2つはそこそこのレベルでよいけど、1つだけは競合に負けないくらい尖らせましょうという意味です。
例えば、
安さを武器に戦おうと思うなら、物件を安く仕入れる技術や情報、安くリフォームするためのDIY技術や道具などには投資を惜しまないようにしてください。逆に、高額だけれどもよい仕事をする業者情報に踊らされる必要はありません。
そこそこのデザインで良いので、高額な有力デザイナーを探す必要はありませんし、お金をかけたリノベーションで家賃アップ!みたいな情報に飛び付くべきではありません。(参考にする程度)
入居者との関係性を武器に戦うなら、
入居者様とできるだけ会って、趣味趣向を把握したり、イベントを催したり最近のトレンドにアンテナをはっておくなどの、関係性強化の施策は積極的に採用すべきですし、そうできるような自己投資は惜しむべきではありません。
お客様の要望に即答えるために、お客様の要望をちゃんと正確に聞き取ることができて動きのよい業者を探しておくのも、惜しまず投資したいところです。
逆に、品質面ではそこそこに押さえるため、過剰な設備への投資は不要ですし、価格で戦ってる訳じゃないので、家賃交渉に応じる必要もありません。
そのぶん、顧客との関係性強化にお金を使いましょう。
品質、商品力で勝つ戦略なら、周辺の物件を徹底的に調べあげ、設備やデザインなど商品力への投資は惜しんではいけません。
逆に、いくらお客様の要望であっても、商品のカスタマイズや家賃交渉は拒否すべきです。
商品力で勝っているなら、他にそのままで良いというお客様が必ず現れるからです。
自分の戦略に従った行動をとろう
このように、戦略を決めるということは、
自分の行動基準(やるべきこと、やってはいけないこと)を決めることです。
そして、その行動によって、お客様を選ぶことでもあります。
3つの価値基準のうち、どれが優れているといったことはありません。
自分にあった戦略を好みで選べばよいです。
そして、自分にあった戦略と合致する行動をとることは、自分にとっても心地よいことです。
さらに、自分にあったお客様を呼び寄せますので、この意味でも心地よいと思います。
長くなってしまいました…(書くの疲れた…)
お伝えしたかったのは以上になります。
ネット上に流れている情報をすべて鵜呑みにするのではなく、自分の価値基準にあったものを選んで採用することで、楽しく事業継続していきましょうね!